ハンガリーに息づく、素朴であたたかな刺しゅうの世界
新しいものと古いものが混ざりあう国、ハンガリーに伝わる手仕事、「ハンガリー刺しゅう」には不思議な魅力があります。ハンガリーと日本を行き来しながら研究を重ねる、ハンガリー刺繍研究家の筒井はるみさんに、ハンガリー刺しゅうの背景についてお話をおうかがいしました。
それぞれの地方で受け継がれる素朴な手仕事
「民族のるつぼ」といわれるハンガリーでは、それぞれの地方で民族的な文化とともに郷土色豊かな手仕事の文化が根づいています。中でも母から娘へ受け継がれてきた刺しゅうは、実に多彩。ハンガリー刺しゅうは、少なくとも30種類以上の刺しゅうがあり、さまざまな色づかいやモチーフがあります。
華やかな刺しゅうが、暮らしの彩りに
農業国でもあるハンガリー。農業や牧畜が中心の暮らしの中で、人々は身のまわりの美しいものをモチーフに装飾品を作ってきました。仕事の合間に、また農作業が休みになる冬の間に作る刺しゅうは、お金がなくても豊かさを感じられる女性たちの大切な財産だったのです。
モチーフは、ハンガリーの自然や美しい花たち
モチーフになるのは自然の植物。バラやチューリップ、カモミールなどたくさんの花が見られます。なかでもカロチャ地方では「生きとし生けるものすべて一本の生命の幹から枝分かれした」という考えがあり、一本の幹からさまざまな花が咲き、実がなる様子がデザインされています。
ヴィオラを学ぶために、ハンガリーへ
今ではハンガリー刺しゅうの研究家として知られる筒井さんですが、もともとハンガリーに渡ったきっかけは、ヴィオラの勉強をするためだったそうです。次回は、筒井さんとハンガリー刺しゅうの出会い、人々の暮らしの中から生み出された美しい文化について、詳しくご紹介していきます。
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